1.原価管理の目的

原価管理は、何のためにあるのでしょうか。

 その名前の通り、原価を管理するということが目的です。それでは、原価とは、何を意味するのでしょうか。以下の2つの目的に分けて考えられます。

 ①会計処理のための原価

  会社として、会計上の原価を指します。この中では、工種別原価は必要なく、工事単位での原価収集が一般的です。会社としての原

 価ですので、1円単位で間違いは許されません。原価を確定するための処理時間も一般的に長いです。

 ②工事進捗状況の損益を管理するための原価

  実際に各現場ごとに使用された資源(人、材料、機械、設備)を割り当てていきます。その単位は、工事別のみではなく、工種別で

 管理することが多いようですが、さらに作業別での原価を管理する会社もあります。原価を確定するまでの処理時間も急ぎます。

  原価の発生状況を確認し、赤字になっているのかどうかによって、対応が変わってくるので、締日から10日前後で確定しないといけ

 ないでしょう。

  簡潔に言うと少々の誤差があっても、工事原価合計がどうなっているのか、赤字になっていないか等の損益状況の確認です。  

  MIYABIでは、①の会計処理の支払管理も対応しています。②の工種別原価管理を素早く集計、報告できるシステムです。 

2.原価管理の実践例(作成中)

それでは、実際の原価管理は、どのように行っているのでしょうか。

 原価の集計方法として、建設業独自の出来高調書があります。これは本当に驚くべき仕組みだと私は思っています。本来、毎月の請求は、請求書を発行する側が、作成し、請求する。そして受け取った元請業者が査定する。ということだと思いますが、受け取る側の元請業者が、自ら請求金額を決め、下請け業者に確認する。という手順に昔から疑問に思っているところです。自分のところで、査定する力量がないと言ってしまえばそうですが、もっと、下請け業者に力量を持ってもらいたいところです。

 まぁ、契約で決めた金額をどう配分するわけだからそれほど、問題ではないと言われるでしょうが、それでは、下請けの見積能力、生産意欲がどこにあるのかといいたい(ボヤキ)です。

 一般的に元請業務を行っている企業では、

 ①出来高調書を作成し、協力会社の支払い(出来高)を確定する。

 ②出来高調書以外の原価は、各工事の個別の支払いを工種別に仕分けし、支払を確定する。

 ③元請業者が、請負契約を締結している業者の資材(生コン、鉄琴等)を肩代わりして支払い、出来高から控除する。

上記3種類の月次の支払いを確定することで、月次原価が確定します。

 

 

 ①出来高調書を作成し、協力会社の支払い(出来高)を確定する。

出来高調書

出来高調書の作成です。

出来高調書は、実行予算書で作成された各工種の設計数量を毎月どれだけ施工していったか、毎月の出来形を入力し、各工種単価を乗じることによって、出来高を算出するための資料です。

予算書で一式計上した場合には、金額しかわからないので、引き去り金額しかわからず、工事の進捗を把握できません。ここは、設計数量×予算単価で、金額を現したいものです。

MIYABIでは、黄色で囲まれた領域が、入力領域です。予算上で設定された情報は、

                        すべて、転記されます。ですので、工事責任者、代理人は、毎月の施工数量を入力

                        するだけで、出来高調書を完成させます。

                        一式計上の場合も毎月の金額を入力することも可能です。

                        また、毎月決まった割合で出来高を保留する保留金処理も行います。

 

 ②出来高調書以外の原価は、工種別に仕分けし、支払を確定する。

工事支払依頼書

請負契約の場合は、概ね出来高調書で、完結しますが、請負契約以外の原価(たとえば、常傭工事、毎月の現場管理費等)を毎月の請求書、領収書を基に、工種別に仕分けし、入力していきます。

 

③出来高から控除する。

有償支給

請負契約の場合において、協力会社が購入支払うべき資材(たとえば、生コン、鉄筋等)を代行して、購入支払いした金額を、出来高から控除する処理です。

出来高から該当する金額を工種別に分類し、自動的に処理を行います。